ごっこ遊びを動かす土台はシンプルです。
まずは3手順。
たとえば「切る → 運ぶ → 渡す」の短い流れにすると、
未就学の子でも最後までやり切れ、「できた」が続いて集中が保てます。
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◆“3手順で完了”できる玩具(例:切る→運ぶ→渡す)◆
行動を3ステップに絞ると、未就学の子でも最後までやり切れます。
たとえば「食材を切る → お皿に盛る → 『どうぞ』と渡す」。
短い達成サイクルが連続して「できた」を積み重ね、集中と意欲が続きます。手順が明確だと、親の声かけも少なくて済み、遊びが自走します。
◆役割が分けやすいセット(店員/客、医者/患者 など◆
対になった道具(レジと財布、体温計とお薬など)があると、やり取りが自然に往復します。
店員と客、医者と患者のように役を分けるだけで、親子・兄弟・友達の参加がスムーズになり、交代もしやすくなります。
役割が明確だと会話が増え、遊びの流れも安定します。
◆置くだけで始まるデザイン(常設で誘われる形・色・サイズ)◆
道具はトレー1枚に収まる量にし、つまみやすい厚みと転がりにくい形状を選びます。
主役のアイテムは子どもの目線の高さに置くと手が伸びやすく、遊びの開始率が上がります。
出し過ぎない常設は散らかりを防ぎ、片づけも短時間で完了します。
| 条件 | 具体例 | 効果 |
|---|---|---|
| 3手順 | 切る→運ぶ→渡す | 未就学でも完走。達成体験が連続 |
| 役割 | 店員/客・医者/患者 | 会話が往復。人数が増えても回る |
| 置き方 | トレー1枚・主役は目線の高さ | 置くだけで始まり、片づけも簡単 |
年齢別“盛り上げスイッチ”(0歳後半/1歳/2–3歳)
1歳前後の子には、声かけを5語以内+二択にします。
「コップ? お皿?」「運ぶ? 乗せる?」——選ぶだけで次へ進める設計は、主体性をそがず、親の負荷も下げます。
2〜3歳なら、砂時計30秒や“交代カード”で役割交代を可視化。口約束より衝突が減り、遊びが長続きします。
◆0歳後半:出し入れ・音まね・指差しで参加◆
大きめパーツで出し入れ遊びを中心にします。合図は単音が有効(例:トントン/ピッ)。まねしやすい音がきっかけになり、指差し→模倣へと自然に発展します。
◆1歳:二択の声かけで自発を促す◆
声かけは5語以内+二択が基本です(例:「コップ? お皿?」、「乗せる? 運ぶ?」)。選ぶだけで次へ進めるため主体性が育ち、親子のやり取りも増えます。
◆2–3歳:役割交代を可視化してトラブル予防◆
砂時計30秒や“交代カード”で交代タイミングを見える化します。店員↔客、医者↔患者など役を往復させると、順番待ちのストレスが減り、社会的なやり取りが安定して広がります。
| 年齢 | 有効な合図/道具 | 遊び方のコツ |
|---|
| 0歳後半 | 単音合図(トントン/ピッ)、大きめパーツ | 出し入れ中心・指差しで参加 |
| 1歳 | 5語以内+二択(「コップ? 皿?」) | 選択で次へ進む設計に |
| 2–3歳 | 砂時計30秒、交代カード | 交代を可視化し衝突予防 |
今夜から使える“3手順ミニ台本”
文字が読めなくてもOK。ピクト1枚×3枚を順に見せ、親は短い合図だけ。短い流れで成功体験を積み重ねます。
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◆キッチン:焼く → 盛る → 「どうぞ」
フライパン→お皿→手渡し。短い工程で達成感が続き、やり取りの言葉が増えます。
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フライパンで焼く
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お皿に盛る
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「どうぞ」と渡す
◆お店屋さん:選ぶ → 会計 → 袋わたし
選択→レジ→袋渡し。数や順序、あいさつなど実社会の基礎を無理なく体験できます。
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欲しい物を選ぶ
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レジでピッ(会計)
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袋に入れて渡す
テーマ ① ② ③ キッチン 焼く 盛る 「どうぞ」で手渡し お店屋さん 選ぶ 会計(ピッ) 袋わたし お医者さん 診る(体温) なおす(薬/包帯) シール 配達 仕分け 運ぶ 受け取り(タッチ)
兄弟・親子で「ケンカになりにくい」役割設計
ポイントは3つだけ。
だれが何をするか決める/2) いつ交代するか見える化/3) 物は少し多めに。
1. 役割をはっきり分ける
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例:「つくる係(上の子)」「はこぶ係(下の子)」「しまう係(大人)」
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係マーク(シールや色ゴム)を胸や手首に付けると、すぐ分かります。
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ねらい:同時に動けるので、待ち時間が減ります。
声かけ例
「今日はAくんが“つくる係”、Bちゃんが“はこぶ係”ね。準備OK?」
2. 交代のルールを“目で見える”形に
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例:「3回やったら交代」または「砂時計30秒で交代」。
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交代カード(表:店員/裏:お客)をくるっと裏返すだけでもOK。
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ねらい:約束を目で確認できるので、もめにくい。
声かけ例
「“3回で交代”だよ。砂時計が落ちたらチェンジ!」
3. パーツは「人数+1」にしておく
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例:子ども2人ならコップは3個用意。
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ねらい:取り合いが起きにくく、必ず“空き”があるから選べます。壊れた時の予備にもなります。
声かけ例
「コップは3つあるよ。好きなのを1つえらんでね。」
ミニお助けワザ
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待機トレー:待つ子は次に使う道具を1つだけトレーに置いて待つ。
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交代アラーム:キッチンタイマーやスマホの“ピッ”で交代合図。
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終わりの合図:「閉店ベル」や「キッチンおやすみ」で片づけも“ごっこ”に。
ちいさな舞台が、家族をつなぐ
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ごっこあそびは、道具よりも人と場がつくる遊びです。
親は合図を出し、子どもが役を選び、兄弟や友達は交代を重ねて思いやりと会話を育てる。
木のおもちゃは壊れにくく温かい手触りで、何度でも物語をやり直せる相棒。
今日から試すのは、3手順・役割・置き方の三つだけ。トレー1枚の小さな“舞台”が、家族の会話を増やし、友達との協力や交渉も自然に生みます。飾って終わりではなく、明日も続く遊びへ。木のおもちゃと一緒に、暮らしにやさしい時間を。